2016年4月14・16日熊本地震の震源過程

纐纈一起・小林広明・三宅弘恵
東京大学地震研究所・情報学環
最新更新:2016年4月18日
作成:2016年4月16日


目次

背景にある地震環境
4月14日の地震の震源断層と震源インバージョン(暫定)
4月16日の地震の震源断層と震源インバージョン(暫定)


背景にある地震環境

比較的地震発生の確率が高いと長期評価されていた日奈久断層帯の地域で4月14日に,布田川断層帯の地域で4月16日に発生した(図1).



図1.布田川断層帯と日奈久断層帯(地震調査委員会による).


4月14日の地震の震源断層と震源インバージョン(暫定)

4月14日の地震の震源断層では,Hi-netの自動処理震源をもとに破壊開始点を設定し,本震後3時間の余震分布から考えて,1.5km四方の小断層による18×16.5kmの断層面を設定した.断層パラメータはF-net解から走向211°,傾斜87°とし,rakeは180°を中心にしたふたつのベクトルで表現した. K-net, KiK-netから12点を選択し,加速度記録を積分して速度にした後バンドパスフィルタをかけリサンプリングしたものを観測波形として震源インバージョンを行った.最大すべり量は0.8 mで,ほぼ破壊開始点付近に求まった.地震モーメントM0 = 1.6×1018Mw 6.1)となった.スナップショットをみると破壊は震源付近の大きなすべりから浅い部分,特に北側に向かって進んでいるように見える.震源時間関数にはピークが二つ見えており,1つ目は震源付近,2つ目は浅部のすべりに対応している.波形の合いは改善の余地があり構造や断層モデルの調整が必要であろう.



図2.4月14日の地震の破壊開始点(赤星印),3時間後までの余震(橙星印・黄色丸),及びそれらから推定された震源断層(青四角).その震源断層で震源インバージョンを行い,得られたすべり分布を左上に示した.黒太線は活断層を表す.

4月16日地震の震源断層と震源インバージョン(暫定)

4月16日の地震の震源断層では,Hi-netの自動処理震源をもとに破壊開始点を設定し,本震後3時間の余震分布から考えて,3×1.5kmの小断層による54×16.5kmの断層面を設定した.断層パラメータはF-net解などを基に走向224°,傾斜75°とし,rakeは180°を中心にしたふたつのベクトルで表現した. 再びK-net, KiK-netから14点を選択し,加速度記録を積分して速度にした後バンドパスフィルタをかけリサンプリングしたものを観測波形として震源インバージョンを行った.最大すべり量は6.1 mで,地震モーメントM0 = 4.1×1019Mw 7.0)となった.以上は14日と同じく暫定解であり,構造や断層モデル,震源時間関数などの調整が必要である.また,直後に発生した余震の影響を除去し切れていない可能性がある.



図3.4月16日の地震の破壊開始点(赤星印),3時間後までの余震(橙星印・黄色丸),及びそれらから推定された震源断層(青四角).その震源断層で震源インバージョンを行い,得られたすべり分布を左上に示した.黒太線は活断層を表す.