今回の地震の震央(破壊開始点)と6時間以内の余震を図2にプロットし,それらに基づいて165 x 105 kmの震源断層を推定した.これまで,ネパール地域の巨大地震は,浅い衝突部を中心に発生すると考えられていたが(たとえば図3),今回の地震の震源断層はその北側のやや深い部分(図1の沈み込み部分)にあり,従来の想定や研究結果(Sapkota et al., 2013など)とは異なっている.また,雪崩や山崩れなどの被害が目立っていることには,北寄りヒマラヤ山脈直下の震源断層の位置が関係しているだろう.
遠地実体波をデータとしてKikuchi and Kanamoriの方法により震源インバージョンを行った.その結果,Mw(モーメントマグニチュード)7.9の震源過程モデルが得られた.このモデルによるすべり分布(最大すべり4.3 m)を,余震分布等に重ね描いたものが図4である.大きなすべりの領域が余震の発生が少ない領域と重なるのは,過去の地震の経験則と調和的である.また,カトマンズが大すべり域にかかってしまっていることと,断層破壊の進展方向にあることは,当地の大きな被害に関連があると考えられる.