2016年鳥取県中部の地震の震源過程を推定するため,Yoshida et al. (1996) および Hikima and Koketsu (2005) の手法による強震波形インバージョンを行った.本震位置はHi-net自動処理震源を用い,余震分布(防災科研による速報,1.5時間後まで)を参考に長さ19.5km×幅18 km,F-net解を参考に走向162度,傾斜88度の西傾斜の断層面を設定した.すべり角はF-net解がほぼ純粋な横ずれであることを考えて、0度±45度の範囲に求まるものとした.断層面は長さ1.5km×幅1.5 km の小断層に分割し,継続時間0.5秒のランプ関数6個から成る震源時間関数を設けた.破壊伝播速度は震源付近のS波速度の約80%である2.7 km/sとした.波形インバージョンには,図1に示す防災科学技術研究所のK-NETの地表加速度記録を積分し,周期2.5~50秒のバンドパスフィルターをかけた速度波形を14観測点42成分用いた.理論的グリーン関数の計算に用いる各観測点直下の一次元地下構造は,地震調査研究推進本部による長周期地震動予測地図2012年試作版の全国1次地下構造モデルに準拠した.