2007年千島列島東方の地震 ─震源メカニズム・長周期地震動─

東京大学地震研究所
強震動グループ
2007年01月13日
2007年01月15日
2007年01月23日


目次

震源メカニズム .................................................. 呉長江・纐纈一起・三宅弘恵
長周期地震動 .................................................. 古村孝志・纐纈一起・石瀬素子


震源メカニズム

気象庁およびUSGSによる震源の諸元と震源メカニズムは以下のとおり。 震源メカニズムは付近のテクトニクスから考えて、Harvard Quick CMT解(図2左) の北西落ちまたは南東落ちの正断層型(図2右の「沈み込むプレート内の地震」)が 適切と考えられる。 一方、2006年11月の地震は逆断層型のプレート 境界地震(図2右の「プレート間地震」)であった。
2007年の地震に対する、遠地実体波を用いた震源過程インバージョンの結果 (モーメント: 2.06×10**21Nm、Mw: 8.1、最大すべり: 16m)のうち、すべり分 布を図3に示した (Kikuchi & Kanamori, 2003による作図ルーチンを利用した)。 EIC地震学ノートと同じように、浅い部分に大きなすべりが復元されてい る。 観測波形と理論波形の比較は 補図1に示した。 なお、CMTインバージョンを改めて行って、断層面には海溝軸の走行に近い北西 落ちの面を選択した。 震央位置はUSGS NEICによるもの、震源の深さは13kmを仮定した。

2006年11月15日の地震 2007年1月13日の地震
気象庁(一元化)USGS(PDE) 気象庁(暫定値)USGS(NEIC)
震源時 20:14:09.6020:14:13.5 13:23:13.0513:23:21.3
マグニチュード Mj 7.9Ms7.8, Mw7.9,hrv8.3 Mj 8.2Ms8.1, Mw7.9,hrv8.1
緯度・経度 46.703N 154.048E46.592N 153.266E 46 56.27'N 155 03.13'E46.272N 154.455E
深さ 30km10km 30km10km

気象庁暫定 USGS_NEIC
図1. 気象庁(左)とUSGS(右)による震央(気象庁およびUSGS資料より).

Harvard Quick CMT解

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        ###################       
      #######################     
    #########################--   
   #######-----------------##---  
  #####---------------------##--- 
  ###-----------------------####- 
 ##------------------------######-
 #---------   ------------########
 ---------- P -----------#########
 ----------   ----------##########
  --------------------########### 
  ------------------############# 
   ---------------##############  
    -----------################   
      ----##############   ##     
        ################ T        
            ###########           

日本の地震活動
図2. Harvard大学によるCMT解(左)といろいろな地震タイプの模式図(右; 「日 本の地震活動」より).

すべり分布
すべり分布
図3. 震源過程インバージョンによるすべり分布(上)とそれを地形図上にプロッ トしたもの(下).

(以上,呉長江<防災科研>・纐纈一起・三宅弘恵による)


長周期地震動

2006年11月の地震に比べると、規模がやや大きいことも影響しているが、震度 1以上の範囲が非常に大きく広がっていることが図4からわかる。関東平野の 各地点や長野県諏訪市まで震度1となった。 地震動(揺れ)の伝播の様子(図5)やその アニメーションを見ると、どの地点も 揺れが長い時間(数分間)続いていることが見ては取れるが、関東地方など遠方 ではK-NET地震計の特性で記録が途中で打ち切られており、実際にはさらに長 く揺れが継続していたことになる。 また、図6, 7からわかるように、こうした揺れは主に周期8秒から10秒以上の長 周期地震動によっており、この長周期地震動は太平洋岸の観測点(F-net 気仙 沼)でも現れているので、震源や伝播経路で生成・発達したものと考えられる。

震度分布
図4. 2006年11月(左)と2007年1月(右)の地震による震度分布.

地震動スナップショット
図5. 地震動伝播のスナップショット.K-NET加速度記録を積分した速度振幅を 表示.

応答スペクトル
図6. 東京都江東区猿江におけるK-NET記録の応答スペクトル.

F-net記録
図7. 気仙沼観測点における2006年と2007年のF-net記録とそのスペクトル.

(以上,古村孝志・纐纈一起・石瀬素子による)


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